おぼろげな記憶を辿ると、
バラライカさんに最初にお邪魔したのは、祖父母に連れられて…あれは何年前だろう…その時、隣のテーブルの人が食べていて羨ましかった憧れのメニューが、今日頂いたジャルクィガルショーチク(ビーフシチューつぼ焼き)でした。小さかったあの頃は食べきれないほど大きかった一品も、今はぺろりと頂けるほど私は大人に変わりましたが、バラライカもこのシチューも、大好きなピロシキもボルシ(ボルシチ)もあの頃のままで、いつも変わらず美味しいのです。手間暇のかかる部分も手作りの優しい味、「変わったことはできないし、これしかできないから」とシェフは仰るのですが、いつも私を同じように迎えてくれるお店とこの味があるから、やっぱりここに「帰ってくる」感じがします。窓際の席に座って、店内のご家族連れを眺めていると、本当にロシアの食卓に招かれているような、アットホームさに包まれて、今日も来てよかったなとお腹も心も「ありがとう」とホッとする。「ああ、バラライカのピロシキ食べたいな…」とふと思える、バラライカはそんな「お家」のような店なのかもな…と感じます。

お店の歴史
昭和26年創業、現在のシェフで3代目。創業者で初代シェフのお祖母様は社交的で、ハルビンにいた際に周りのロシア人に料理を習っておられたそう。終戦前に日本へ帰国、戦後間もない1951年ロシア料理のお店を生田神社の南側あたりにオープン。ロシア料理という当時馴染みの薄い分野だったので、開店当初は色々ご苦労会ったものの、徐々に「ここにしかないふるさとの心温まる味」を求める人たちが集まり、ファンに愛される店に順調に成長していきます。そんな最中にあの大震災が起こりました。店も周り一帯も壊滅的な状態になり移転を余儀なくされ、なんとか一日でも早く営業再開をと、懸命に店舗を探している中で出会ったのが今バラライカのある場所。震災から半年少々の混乱した時期、華々しい告知は遠慮して静かに営業を再開したところ、聞きつけたお客様の口伝えで一人また一人と、懐かしの味を待ちかねた常連のお客様が駆けつけてこられたとか。昔ながらの味を愛するお客様とそれに応えようとする実直なお店との絆が、今もしっかりと続いています。

お勧めメニューの紹介
オーダーして待つこと約10分。名物料理の一つジャルクィガルショーチク(ビーフシチューつぼ焼き)がやってきます。ぷっくりとドーム状に膨れた部分はロシアパンの生地。シチューをアツアツに保ってくれます。割リながらシチューにつけて頂きます。大きめにカットされた野菜も牛肉もよく煮込まれて、フォークだけで食べられる程ホロホロ柔らかく、エキスがギュッと溶け込んだシチューと絡めると、染み渡るような旨味と甘みでずっと食べ続けたくなる味わい。割りとったパン生地をシチューにつけると、また美味しい。幸せすぎる一時が、食べ終わるまで続きます。心も身体もジンワリと温めてくれるステキな一品です。 ジャルクィガルショーチク(ビーフシチューつぼ焼サラダ付き)1人前:1,800円(税抜)

お店のPRポイント
三代にわたって、伝統的な帝政ロシア時代の家庭料理を昔のまま手作りで提供、変わらぬ味を求めて長年通うファンも多い。小さな厨房(広さは以前のお店の1/3~1/4になっています。)だけれども、伝統的な料理を一品ずつでもメニューに加えていけるように、これからも昔ながらのロシア料理を作り続けたい、シェフのそんなロシア料理への愛と真面目さが一品一品に感じられるお店です。



純ロシア料理神戸バラライカ
- 所在地
- 神戸市中央区中山手通1-22-13 ヒルサイドテラスビル3F
- 連絡先
- 078-291-0022
ご不明な点があれば、直接お店にお問い合わせください